8,一緒に探索へ
「一緒に探索に行かない?父さんから特別なダンジョンに入れる鍵をもらったの♪」
特別なダンジョン?
どんなところだろう。
アスティオさんはちょっと不思議な人で、普通の国民が知らない場所に出入りしている。
元々遠い国から移民してきたご先祖様の遺品だって教えてもらったっけ。
ルルーディさん1人では危なっかしいからついていく事にした。
入り口に着くと、なぜか父さんが待っていた。
「ここは前にアスティオと入ったことがあるから、案内を頼まれたんだ。」
なんだ…私だけじゃなかったのか。
ダンジョンに入ると、薄暗くて狭い不気味な道が続いていた。
そして遭遇するモンスターは普通のダンジョンで出没するものより凶暴で強かった。
父さんが慣れた様子で軽く蹴散らしていく。
私は後ろからついて行くので精一杯だ。
ルルーディさんは大丈夫だろうか?
彼女は見たこともない武器で、父さんの討ち漏らしたモンスターを片付けて行く。
もしかして、私より強い?
早くも2階で息が上がってきた。
5階の奥の方で、ひときわ強いモンスターが現れた。
私はただ防御するしかなく、父さんとルルーディさんが2人で討伐する姿を見守っていた。
「無理せず帰ってもいいんだぞ?」
たぶんこれ以上ついていっても足手まといにしかならないだろう。
父さんの勧めるままに、私は1人先に帰還する事にした。
2人が探索を終えるのを外で待ち構え、ルルーディさんの無事を確認した。
「ビセンテさんが一緒だったから、頑張って18階まで進めたわ♫」
18階⁉︎
悔しいけど、今の私の実力ではとてもついていけないや。
すっかり日も暮れたので、父さんと一緒に帰る事になった。
「ルルーディは強いなぁ。さすが子どもの頃からアスティオに鍛えられてきただけはある。一緒にいるのは大変だぞ?」
ニヤリ、と笑いながら言う。
そんなこと、言われなくてもわかってるよ。
今のままじゃ彼女を守るなんてできない。
せめて隣に並んで戦えるぐらい鍛えないと。
それにしても…戦う彼女は華麗だったなぁ…