15,プロポーズ
昨日、父さんから山岳兵隊長の役目を引き継でから、覚えなきゃいけないことや、やらなきゃいけないことがたくさんできた。
一応家長になるわけなんだけど、今はまだ家の事は任せていいって事になった。
結婚は…まだ焦らなくてもいいよって母さんは笑っていた。
でも兵隊長になった事は、1番にルルーディさんに伝えたい。
朝1番に会いに行って、彼女に報告すると、とても喜んでくれた。
私が兵隊長になれるだけの力を身に付けられたのは、特別なダンジョンに連れてってくれた彼女の応援のお陰でもあるんだ。
今日はデートの約束もしていたので、街角広場で待ち合わせて幸運の塔へ出かけることにした。
幸運の塔は今日も花がいっぱい咲いていた。
そう言えばここで告白したんだっけ、あの時勇気出して良かったなぁ。
本当に、2人一緒にいるだけで幸せなんだ。
だけど、家に帰った時に彼女が待っていてくれたら、きっともっと幸せになれるんじゃないだろうか?
まだ早いかもしれないけれど、思い切って切り出した。
「今から一緒に出かけない?ちょっと話したいことがあるんだけど…」
たぶん彼女もプロポーズだって気がついていると思う。
驚いたような顔をして、困ったように返事をくれた。
「今はちょっと…用事があるから…」
なんとなく気不味い雰囲気になったので、今日はそのまま帰ることにした。
29日の朝、彼女に会いに行こうと探してみたら、魔銃師会館にいるようだった。
会館のホールに着くと、お兄さんと一緒に魔銃兵志願申し込み窓口にいる彼女が目に入った。
心臓がドキッとした。
志願者ランキングには彼女の名前が載っていた。
なんで忘れていたんだろう。
彼女の夢は…龍騎士になる事だった。
それは今でも変わっていないんだろう。
でも、その夢を叶えるには、来年志願者ランキングで上位に入り、魔銃兵になってからポイントを稼いで魔銃師に昇格、さらに翌年のエルネア杯に出場、優勝してバグウェルに挑み、勝利しなければならない…
その間に結婚して山岳兵になってしまったら、夢にチャレンジする事も出来なくなる。
彼女の夢を応援したい。
でも、今すぐにでも結婚したい気持ちもある。
どうしたらいいか分からなくなって、とにかく彼女の気持ちが聞きたくて、もう一度連れ出そうと声をかけた。
やっぱり困ったようにはぐらかされてしまった。
もう少し冷静にならないと、彼女を困らせてばかりじゃダメだよなぁ。