14,山岳兵団リーグの決着
今日は山岳リーグの最終日。
山岳6家の代表で争われるこの戦い、今回の見所は「山岳カルテット」と呼ばれる4人の中で誰が最強か、と言われてる。
現兵団長のウェズ・ペトレンコさん。
昨年龍騎士になったニーノ・カランドロさん。
私の父であるビセンテ・ブラッドレイ。
同じ年に同じ山岳長子として生まれたこの3人は昔から競い合ってきたんだけど、
2歳下のトマス・カランドロさんを加えた4人が昨年のエルネア杯で大活躍し話題になったんだ。
この4人に今年からリーグに出場する
紅一点アンジェリン・プラマーさんと、
最年少のアナトール・シュワルツさんが加わって総当たりで戦う。
実はエルネア杯では色違いの衣装がカッコ良かったって言うのも話題になったキッカケらしいんだけど。
衣装をプロデュースしたのがルルーディさんのお父さん、神官のアスティオさんだったって言うのを最近教えてもらった。
一年かけて競った結果、同期3人は全員4勝1敗。
「結局誰が1番か決着つかなかったな。」
「ニーノは武器が特別製なんだから、ハンディくれよ!」
「そんなこと言って、手抜きで勝っても面白くないとか言うんじゃないの?」
あれだけ熱闘を繰り広げたのに、閉幕の後はサッパリと仲良くできるなんて、大人だな〜って憧れるよね。
同率だけど、今期の兵団長のウェズさんが来季も引き続き山岳をまとめていく…はずだった。
「ジェフリー、兵隊長を引き継ぐぞ!」
突然の父さんの言葉に戸惑った。
「父さん、まだ十分現役で戦えるのに、もう引き継ぎだなんてもったいないよ!」
「オレたち同期3人で話し合ったんだが…次のエルネア杯に向けて、後進の育成に力を入れようと思ってるんだ。」
山岳兵がなかなかエルネア杯で勝てない理由が引き継ぎの難しさだとも言われている。
引き継ぎのタイミングが悪ければ、実戦経験の乏しいままエルネア杯に臨まなければならなくなる。
山岳全体の事を考えて身を引くなんて、決意するのは簡単な事じゃなかっただろうな。
ドルムで引き継がれてきた想いとともに、父さんから兵隊長の役目を引き継ぐ決心をした。
継承の儀式を終え、来季からの活動についてアレコレと父さんから指導を受けた。
「まあ来年は新人気分で大丈夫だから。新団長のトマスの言う事を聞いて頑張ってくれよ。」
トマスさんはまだ子どもが小さいので引き継ぎできず、続投してくれるそうだ。
父さんたちだって兵団顧問として相談に乗ってくれるから安心だ。
「ジェフリーもすっかり頼もしくなったなぁ。後はこれでルルーディが嫁に来てくれれば問題ないな!」
父さんから突然そんなこと言われて、急に意識してしまった。
明日デートなんだけど、なんか妙に緊張してきちゃったよ。